新創業融資制度の重要な審査項目について

「日本政策金融公庫の創業融資について」では、日本政策金融公庫の新創業融資制度について説明しています。
当然ながら新創業融資制度を活用し融資を受けるためには、日本政策金融公庫の審査に通る必要があります。その審査で重視される項目について、今回は説明したいと思います。
創業融資を検討されている方は、創業前の段階から計画的に準備を進めていくことで融資実行の可能性が高くなりますので、今回の内容を理解してください。

「新創業融資制度の融資手続の流れについて」でも説明していますが、融資の申請から実行までの間に審査を通過する必要があります。
申請すれば誰もが審査に通るものではなく、適切に返済される可能性が高いと判断された場合に審査に通過することになります。審査に落ちてしまうと必要な創業資金を好条件で工面することが難しくなります。
そのため審査ではどういった項目が特に重視されるのか理解し、提出資料の準備や面談対策を行うことが重要となります。

では、日本政策金融公庫の審査で重視される各項目について説明していきます。

事業の業種に関連する経験が十分にあるか。

前職で事業に必要なノウハウや経験を多く有している方と、今までの経歴は事業に関係なく事業に関連する経験が全くない方を比較した場合に、事業を安定的に経営できる能力はどちらが高いか考えてみると一目瞭然だと思います。
もちろん、実際に事業を始めていくと後者の方が好成績を残される可能性もあると思います。
しかし、創業融資の際は会社の実績がまだありませんので、融資側からすると事業経験や自己資金などの情報で判断せざるを得ないのです。
例えば6年以上の経験がある方は、経験年数や職位、資格など説得力があるポイントを積極的にアピールするようにしてください。
また、経験がない方や少ない方は今からすぐに経験を積むことは難しいため、自己資金や事業計画等で補うことが必要となります。

自己資金が十分にあるか。

日本政策金融公庫の新創業融資制度の要件にも「自己資金の要件」が記載されていますが、必要な創業資金に応じた自己資金が適切に準備されているか評価されます。
会社や経営者の状況によっても異なってくるため一概には言えませんが、少なくとも創業資金の3分の1以上の自己資金を確保しておきたいところです。
ただし、自己資金が在るように見せるための“見せ金”は自己資金として評価されません。
通帳に突発的な入金などがあれば、担当者との面談時に確認されます。
個人及び会社の通帳の流れを確認されるため、不自然な資金はすぐに明らかにされます。
創業前から計画的にコツコツと貯めてきた通帳で確認できる資金は自己資金として評価してくれますが、自己資金を多く見せるために消費者金融で用意した資金や急遽準備しているような資金は自己資金として評価されにくいため、注意してください。
事業に対する計画性や本気度を自己資金でも評価されています。

信用情報に問題はないか。

日本政策金融公庫のホームページからダウンロードできる「借入申込書」を閲覧すると、個人信用情報機関の信用情報を利用していることがわかります。
クレジットやローンなどの支払延滞や滞納がある場合は、信用情報に傷がつきますので融資を受けられないリスクが高まります。
信用情報についた傷の程度によって審査への影響も変ってきますが、お金の管理が出来ない経営者だと思われないように注意しましょう。
また税金や公共料金を適切に納付しているか、面談の際にエビデンスの提出を求められますので、こちらも適切に対応しておきましょう。

事業計画が適切に作成されているか。

事業実績がまだありませんので、事業計画で返済能力が十分にあるか説明する必要があります。
外部環境の理解、事業の強みや競合他社と差別化できる要素、集客プランなどの定性的な情報や、毎月の事業利益から返済できるという定量的な情報を準備し説明する必要があります。
これらは実現可能性が高いものでなければ、当然に審査は通りません。
そのため必要に応じて根拠資料を準備し、説得力のある計画書を作成する必要がありますので、自分自身の感覚だけで作成しないように注意ください。

今回は、審査で特に重視される項目について説明してきました。
創業融資を受けるのは大変だなと思われた方も多くいらっしゃったのではないでしょうか。
ただし、この記事を読んでいただいている方は事業に対する気持ちも強く、何とか事業を継続していきたいと挑戦する気持ちがある方だと思います。
公認会計士及び税理士が在籍する税理士法人スフィーダでは、挑戦する経営者を支えていくことを理念としています。
提出書類の作成にあたっては専門的な知識も必要となる場合もありますので、大阪・関西エリアで創業融資のサポートを必要とされる方は、是非一度ご連絡ください。

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